エニアグラムでは、健全度が大きく低下する前に2段階の特徴的なサイン(自己感覚)が表れると言われています。
“健全”から“通常”に落ちる際のサインを“目覚めの注意信号”、“通常”から“不健全”に落ちる際のサインを“警告信号”と呼びます。
これを知っておくと、「健全度が落ちているかも!」と、セルフチェックできるようになりますよ!
※ちなみに…、タイプの診断ができていない方はコチラを参考にどうぞ。
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エニアグラムの“目覚めの注意信号”|レベルが健全から通常に落ちるサインとは?
エニアグラムには“健全度”という考え方があって、大きく“健全”・“通常”・“不健全”の3つ段階に分かれています。
(※「そもそも”健全度”って何?」という方は、まずこちらからどうぞ。
>>エニアグラム“健全度”とは?)
ここで、“健全”から“通常”に下がる際に、特徴的な感覚を覚えることがあります。
これは、“目覚めの注意信号(The Wake-up Call)”と呼ばれています。
では、「具体的に“どういう感覚”なの?」というと、9つの性格タイプ別に次のような感覚が現れるようになります。
【エニアグラム各性格タイプの“目覚めの注意信号(The Wake-up Call)”】
- エニアグラムタイプ1:すべて自分で解決しなければならないという、個人的責任感を感じる
- エニアグラムタイプ2:相手を取り込むために、人のところに出かけていかなければならないと信じる
- エニアグラムタイプ3:地位や関心を得るために、自分を駆り立て始める
- エニアグラムタイプ4:想像力を通じて、気持ちに執着し、強める
- エニアグラムタイプ5:現実から退避して、概念や知的世界に入り込む
- エニアグラムタイプ6:自分の外にあるものに、導きを求めて依存し始める
- エニアグラムタイプ7:より良いものがどこか他で手に入ると感じる
- エニアグラムタイプ8:事を起こすために押し進み、闘わなければならないと感じる
- エニアグラムタイプ9:表面的に人に合わせる
(リソ&ハドソン. エニアグラム あなたを知る9つのタイプ【基礎編】)
今あなたは、
「これって、普通の事言ってない?注意すべき程のことなの??」
と、思っているかもしれません。
確かに、各性格タイプにとっての“お馴染の行動パターン”ですよね?笑
これは、そもそもほとんどの人の健全度は“通常”の段階にあると言われていて、
“目覚めの注意信号”はその“通常”の入口なので、
多くの人にとっては違和感のない話になるわけです。
ただ、逆に言えば、これらの感覚を手放すことでできれば、“健全”の段階に上がれる可能性があるとも言えます。
つまりは、成長したい人にとっては、認識する価値のあるサイン(感覚)だとも言えるでしょう。
というわけで、各性格タイプの“目覚めの注意信号”について、少し補足していきましょう!
エニアグラムタイプ1の“目覚めの注意信号”
“正しさ”を得るために、プレッシャーを感じるようになります。
(「自分だけが大人で、責任を負い、我慢している」という感覚です。)
そうして自分を抑圧しているせいで、(客観的に見ても)一生懸命頑張っているのに、緊張したりイラ立ちやすくなります。
エニアグラムタイプ2の“目覚めの注意信号”
“愛”を得るために、“自分という軸”(自分への尊厳)が薄くなります。
(人への共感力が拡大し過ぎて、自分のエネルギーや感情や身体までもが、相手に傾く感覚です。)
そうして自分自身と繋がっていないせいで、人と触れ合っているのに、人と心が通じ合わなくなっていきます。
エニアグラムタイプ3の“目覚めの注意信号”
“評価”を得るために、最適な自分を演じるようになります。
(スイッチが入り、パフォーマンスを始め、自分を偽る感覚です。)
そうして心から関わることを切り離してしまうせいで、行動しているのに、充実感を得られなくなっていきます。
エニアグラムタイプ4の“目覚めの注意信号”
“自分らしさ”を得るために、自分の内面(空想、感情、ムード)に浸るようになります。
(自分の中に広がる“感情の波”に揺られることを、味わって満足する感覚です。)
そうして自分の内側だけで完結してしまうせいで、自分の内的な“特別さ”に触れているはずなのに、疎外感を得るようになります。
エニアグラムタイプ5の“目覚めの注意信号”
“有能さ”を得るために、知的活動に没頭するようになります。
(現実や人との関わりを避けて、距離を置き観察し、情報として扱う感覚です。)
そうして“退避”を目的に頭を使うせいで、考えているのに、思考の深みや静けさを感じられなくなります。
エニアグラムタイプ6の“目覚めの注意信号”
“安全”を得るために、勘ぐったり、衝動的になったりします。
(考え過ぎて不信感を強めたり、逆に、考えを止めるために勢い任せになる感覚です。)
そうして過度な警戒心を持つせいで、堅実に周りの人からの信用を積み上げているはずなのに、自信が曇るようになります。
エニアグラムタイプ7の“目覚めの注意信号”
“楽しさ”を得るために、常に“次の楽しいこと”を期待するようになります。
(身体では何かを体験していても、頭では「もっと楽しいことがあるかも」と考えてしまう感覚です。)
そうして目の前のことを味わおうとしないせいで、多くのことで忙しくしているのに、フラストレーションは増していくようになります。
エニアグラムタイプ8の“目覚めの注意信号”
“強さ”を求めるために、力任せになるようになります。
(「物事を動かすためには、もっとたくさんのエネルギーを注ぐ必要がある」と、気負う感覚です。)
そうして攻撃的態度を固めるせいで、身の周りの人や事からの影響に鈍感になり、パワフルに活動しているのに、“生きていることのリアルさ”の感覚が薄れるようになります。
エニアグラムタイプ9の“目覚めの注意信号”
“平和”を求めるために、人に合わせるようになります。
(自分の意見を言わなかったり、“怒り”を感じても曖昧な態度でその場をごまかしたりする感覚です。)
そうして葛藤を避けるせいで、穏やかな人たちの和の中にいても、人との繋がりの感覚が薄れるようになります。
我々凡人には“当たり前”に思えるこの“目覚めの注意信号”に対して、違和感に気付き、「またこの状態やってしまってるわー!」と感じられるようになると、“健全”に向かい始めている証拠だと言えるかもしれません!
エニアグラムの“警告信号”|健全度が“不健全”に落ちる時のサインとは?
次に、エニアグラムの健全度が“通常”から“不健全”に落ちる時に表れる特徴的サイン(感覚)があります。
これは“警告信号(Red Flag fear)”と呼ばれます。
具体的には、9つの性格タイプ別に、次のような感覚を覚えるようになります。
【エニアグラム各性格タイプの“警告信号(Red Flag fear)”】
- エニアグラムタイプ1:自分の理想が実際には間違っていて、逆効果であること。
- エニアグラムタイプ2:自分が、友人や愛する人を追い払っていること。
- エニアグラムタイプ3:自分が失敗しつつあること。自分の主張が、空虚で詐欺的であること。
- エニアグラムタイプ4:自分の人生をダメにし、せっかくの機会を無駄にしていること。
- エニアグラムタイプ5:自分が世界において、また人との関係で、居場所を見つけることがないだろうということ。
- エニアグラムタイプ6:自分自身の行動が、安全を損ねたこと。
- エニアグラムタイプ7:自分の活動が、痛みと不幸せをもたらしているということ。
- エニアグラムタイプ8:人が自分にそむき、報復するだろうということ。
- エニアグラムタイプ9:現実に迫られ、自分の問題に取り組まざるを得ないだろうということ。
(リソ&ハドソン. エニアグラム あなたを知る9つのタイプ【基礎編】)
この信号(感覚)は、簡単に言えば、
「自分の行動が空回りして、自分のせいで自分の欲しいものが手に入らない状況になっている気がする!」
と、感じ始めるということですね。
(ツラい状況ですね…。)
ただし、正直この説明だけだと、説明が短くて抽象度も高いので、
「何となく分かる気がするけど、良くは分からない…。」
という方も多いんじゃないでしょうか?
というわけで、少し補足しますね。
まず、各性格タイプは、“通常”から“不健全”に落ちる間際になってくると、欲求を満たすための方法が“粗く”なっていきます。
(“粗くなる”というのは、“大胆かつ短絡的になる”という感じです。)
しかも、やっかいなのは、自分のしていることを「良くない」と感じつつも、ゆとりがなくなって止められなくなっていくということです…。
というわけで、各性格タイプについての“警告信号”に、“各性格タイプの欲求”と“不健全間際の態度”を加えて補足解説していきます。
エニアグラムタイプ1の“警告信号”
タイプ1は、“完璧”であることで批判されなくていいようにします。
そのため“通常”は、理想を掲げ、真面目に一生懸命問題を改善します。
一方、“不健全”に落ちる手前では、自分は少しも間違ってないと主張し、それを受け入れない人を批判するようになります。
しかしそうして、自分の理想や基準に固執するせいで、逆にそれがプレッシャーになり、自分は間違っているかもしれないと感じるようにもなります。
(だから怖い。でも止められない。)
エニアグラムタイプ2の“警告信号”
タイプ2は、“愛されること”で必要とされるようとします。
そのため“通常”は、人を助け、喜ばせ、無私の愛で支えようとします。
一方、“不健全”に落ちる手前では、恩着せがましくなり、自分の親切を当たり前に受け取る人に怒ることで自分の愛に気付かせようとします。
しかしそうして、高圧的になってしまうせいで、自分自身の態度が、好きな人を追い払っていると思うようにもなります。
(だから嫌。でも止められない。)
エニアグラムタイプ3の“警告信号”
タイプ3は、“成功”して価値ある存在として評価されようとします。
そのため“通常”は、目標を掲げ、達成することで賞賛を得ようとします。
一方、“不健全”に落ちる手前では、大げさな主張として自分を売り込むようになります。
しかしそうして、自分をすごく見せようとするせいで、失敗するリスクを強く感じるようになり、自分でも言っていることが虚しくて詐欺的だと思うようになります。
(だから嫌。でも止められない。)
エニアグラムタイプ4の“警告信号”
タイプ4は、“自分らしく”あることで、存在意義を感じられるようにします。
そのため“通常”は、想像力や人と異なる視点、特定のスタイルを持つことで個性を表現します。
一方、“不健全”に落ちる手前では、大きな夢を描きながら(妄想しながら)、自分と他人との違いに嫉妬したり絶望することで(自分の中で大きな感情を育て)、悲劇の主人公を演じるようになります。(それによって、“特別さ”を感じようとします。)
しかしそうして、感傷に浸っているせいで、自分で自分の人生をダメにして無駄なものにしていると思うようにもなります。
(だから嫌。でも止められない。)
エニアグラムタイプ5の“警告信号”
タイプ5は、“専門性(博識さ)”を身に付け有能さを感じられるようにします。
そのため“通常”は、多くの知識や技能を学び、体系的に整理し、実践しようとします。
一方、“不健全”に落ちる手前では、自分の専門領域を脅かす人を拒み、軽蔑するようになります。(それによって、特定領域内での、自分が有能である感覚を守ろうとします。)
しかしそうして、周りを否定して自分の頭の中に引きこもるせいで、社会の中で居場所を見つけることができず、結果的に社会へ有能さを示せない(つまり、無能であることを証明してしまう)と考えるようにもなります。
(だから不安。でも止められない。)
エニアグラムタイプ6の“警告信号”
タイプ6は、“安全”を確保し不安を感じなくていいようにしようとします。
そのため“通常”は、社会のルールをよく守り、仲間に誠実で、組織を堅実にサポートしようとします。
一方、“不健全”に落ちる手前では、少しの刺激(ストレス)にも反応し、自分の安全を脅かす要素(前例のない挑戦や周りと異なる人など)は、避けたり排除したりするようになります。
しかしそうして、防衛的になることが、自らの安全を損ねるリスクを生む(または増やす)と、考えるようにもなります。
(だから不安。でも止められない。)
エニアグラムタイプ7の“警告信号”
タイプ7は、“楽しく”いることで負の感情に触れなくてもいいようにします。
そのため“通常”は、明るく前向きに、フットワーク軽く、興味ある多くのことに複数同時に取り組みます。
一方、“不健全”に落ちる手前では、短期的に多くのものを求め、落ち着きをなくし、その上、飽きやすくなります。
しかしそうして、短絡的になることが、1つ1つの物事から満足感を得られるチャンスを逃し、自分の内面にある痛みや不幸な感覚から逃げられなくなる状況をもたらしていると考えるようにもなります。
(だから不安。でも止められない。)
エニアグラムタイプ8の“警告信号”
タイプ8は、“強く”あることで人から支配されないで済むようにします。
そのため“通常”は、決断力と統率力があり、実際的な勝利を見据えて困難にも挑戦しようとします。
一方、“不健全”に落ちる手前では、人を脅したり威圧することでコントロールしようとするようになります。(弱い者いじめで、力を誇示しようとする。)
しかしそうして、人を追い詰めるような接し方をするせいで、「自分はいつか復讐されて、支配されるかもしれない」という恐怖を感じるようにもなります。
(だから怖い。でも止められない。)
エニアグラムタイプ9の“警告信号”
タイプ9は、“平和”の中にいることで葛藤を感じなくていいようにしようとします。
そのため“通常”は、人を落ち着かせ、否定せず、和を重んじようとします。
一方、“不健全”に落ちる手前では、物事に対して「大した事ない」と楽観視し過ぎて、物事と向き合わないようになります。(無関心になることで、葛藤を感じなくて良いようにする。)
しかしそうして、問題を無視するせいで、状況が悪化していき、いつか差し迫った大きな問題として、取り組まなければならなくなると感じるようにもなります。
(だから怖い。でも止められない。)
エニアグラム“目覚めの注意信号”と“警告信号”を使うには?
最後に、エニアグラム“目覚めの注意信号”と“警告信号”を、『実践』する話もしたいと思います!
ここまでの話を読んで、
「へー、なるほどねー。…じゃ、Tiktokで兎の動画でも見て、寝ようかな。」
と思っている方がいたら言いたいと思います。
「Wake Up!」と。笑
いや、知的娯楽として楽しんでもらえたらそれだけでも嬉しいですが…、
エニアグラムの知見は「知って終わり」ではなく、一緒に「実践して活かしていきたい」と思っています。
(個人的には、こんなマイナーなブログを読んでくれているあなたとは、割と本気で一緒に人生をより良くしていきたいと思っています。)
なので、ここからもう1つだけ、“目覚めの注意信号”と“警告信号”が本気で活かせる考え方についてもお伝えします。
7つの習慣「第1の習慣:主体性を発揮する」とは?(人生哲学のベストセラーの教え)
“7つの習慣”という本をご存じですか?
(出典:アマゾン)
ビジネス書の世界的ベストセラーであり、自己啓発本の定番とも言える書籍です。
エニアグラム(の“目覚めの注意信号”と“警告信号”)は、この本の中で“もっとも基礎となる教え(第一の習慣)”に対して、具体性を付与することができます。
(このブログの読者の方は、“7つの習慣”は読んだことのある方が多いと思いますが、お伝えしたいことの前提知識を共有するため、内容の一部紹介から入らせてもらいます。)
“7つの習慣”の“第一の習慣”は「主体性を発揮する」です。
その内容を端的に紹介すると、
「人間は動物と違って、起きたことにそのまま反応するのではなく、自分でどう反応するのかを選ぶことができる。」
ということです。
つまり、「刺激と反応の間に“選択”を持つべし。」ということです。
エニアグラムの“健全度”と、7つの習慣の“主体性”を合わせて考えてみると…?
“7つの習慣”の中で著者コヴィー氏は、「刺激に反応して行動するのは動物と同じだ」と煽られています。笑
しかし、実際にはそんな人はほとんどいないと思います。
(コヴィー氏も極端に話しているんだと思いますが。)
一方で、主体的行動ができている人も、多数派ではないのだと思います。
(“主体的行動”の重要性を指摘したこの本が、ベストセラーになっているわけですから。)
そうなると実際は、「自分では選択して行動していると思っているけど、実際は“一定の行動パターン”に囚われている」というのが、“反応的行動”に至る多くの人の主要な経路かと思われます。
でも、ですよ?
自分の選択が“性格的行動パターンに囚われているかどうか”に、自分で気付くのって至難の業だと思いませんか?
(「自分の選択にかかるバイアスを、リアルタイムにノーヒントでセルフチェックすること」は、「鏡を使わずに自分の顔の汚れを確認するようなもの」だと言えます。)
そこで、
「じゃあ、どうしたら良いんだよ?(何とかしてよドラえ○~ん!)」
と言うあなたに、お腹をまさぐりながらダミ声で紹介したいのが、
「エニアグラム~!(特に、“目覚めの注意信号~”と“警告信号~”!)」
なわけです。笑
これを踏まえて、是非、自分の性格タイプの“目覚めの注意信号”と“警告信号”のところを、もう一度読み返してみて下さい。
そして、何かストレスを感じた時には思い出すようにしてみて下さい。
そうすれば、(“刺激”に“反応”するのではなく、)“選択”して“主体的行動”を取る助けになると言えます。
私たちは、自らの意思で、思い描く人生を歩む力を育てていきましょう!
“目覚めの注意信号”と“警告信号”は、どちらかというと「自分の健全度の低下に気付ける感覚的サイン」でしたが、“行動的サイン”として使える指標も存在します!
(つまり、これを使えば、“他者の健全度低下”もチェックできるようになります。)
それが“鉛の法則”です!
詳しくはこちらをどうぞ!
>>エニアグラムの“鉛の法則”を分かりやすく解説!