あなたは問題が発生したとき、まずどうしますか?
- 「何とかなる」と思う?
- 「どうするか」と考える?
- 「ヤバい」と感じる?
実は、これらの問題対応の違いは、エニアグラム各性格タイプの違いとも関連しているのです!
ここでは、ハーモニクスという考えについて紹介します!
欲求を満たせなかった時の問題対応の3パターン|エニアグラムのハーモニクスとは?
エニアグラムの“社会的スタイル”の説明では、人が“欲しいものを手に入れるための戦略”には「要求・努力・退却」の3種類がある、とお伝えしました。
(>>あなたの対人態度タイプは?エニアグラムの社会的スタイル(ホーナイ分類)とは?)
しかし…、
戦略を持って取り組んだとしても、いつも欲しいものが手に入るわけではないですよね?
この「“欲しいものが手に入らなかったとき(=問題が起きたとき)”に、どういう対応をするのか?」について、エニアグラムでは次の3種類があると言われています。
この分類を、“ハーモニクス”(または“ハーモニックグループ”)と呼びます。
グループ | タイプ | 問題対応 |
楽観的 グループ |
2・7・9 | 「大丈夫だろう!」と、楽観的にとらえる。 |
合理的 グループ |
1・3・5 | 「どうすれば良いか?」と、合理的にとらえる。 |
反応的 グループ |
4・6・8 | 「何が起きた?」と、反応的にとらえる。 |
※補足
ちなみに、ここで言う各タイプの“欲しいもの”というのは次の通りです。
- タイプ1・8・9(ガッツセンター):自立
- タイプ2・3・4(ハートセンター):関心
- タイプ5・6・7(ヘッドセンター):安全
詳しくはこちら。
>>あなたの欲求対象タイプは?エニアグラムのセンター(中枢機能)を分かりやすく!
それではここから、各“問題対応パターン”の詳細について、それぞれ紹介していきます!
エニアグラム ハーモニクス 楽観的グループ(2・7・9)
楽観的グループは、問題が起きても、重く受け止めません。
むしろ、問題自体をポジティブに変換することもあります。
その明るく前向きな姿勢は、自分の気分を上げるだけでなく、周りの士気も高めます。
ただし、その背景には「良い気分でいたい」という思いがあります。
そのため、逆にネガティブなことからは目を背けてしまう傾向もあります。
“問題から目を逸らす方法”については、各タイプの違いがあります。
- タイプ2:問題を、相手の問題として扱うことで、自分は“助ける側”でいようとします。
「問題が起きても、困るのは相手。私が助けてあげる。」 - タイプ7:問題を認識した上で、そこから逃げることで、“楽しい状態“を維持しようとします。
「問題があったとしても、私は大丈夫。」 - タイプ9:自分の中の平和を守るため、問題自体が存在していないものとして扱い、無視します。
「問題?…何が??」
明るくて前向きな人は、一緒にいて元気をもらえますよね!
(個人的印象ですが、この人達は基本“笑顔”です。)
明るい人達を見て「いいな」と思う人もいるかもしれませんが、タイプ2・7・9が明るい理由の背景には「問題点を見たくない」というそれぞれの事情もあると言えます!
(根っからのポジティブというわけでもなく、彼らには彼らなりの苦悩があるのでしょう…。)
エニアグラム ハーモニクス合理的グループ(1・3・5)
合理的グループは、問題を客観的に捉えて解決先を見出します。
「自分がどうしたいか」、「自分や周りどういう気分か」などは後回しにして、論理的に対処していくことができます。
それによって、もっとも効果的な対処ができるグループと言えます。
ただし、その背景には、「有能でありたい」という想いがあるので、人(や自分)の願望や感情を置いてけぼりにすることがあります。
(それは、問題の本質を放置して悪化させたり、自分や人への精神的配慮を怠ることで心的二次被害に及ぶ可能性もあると言えます。)
“解決策に対処する際の態度”について、各タイプの違いがあります。
- タイプ1:問題に正しく対処することで、正しさを示そうとします。
「ルールを守り、分別を持って対処すれば解決できる。」 - タイプ3:傑出した問題解決を披露し、賞賛を受けようとします。
「困難な問題でも、私なら有効に解決できる。」 - タイプ5:問題を理解できることに集中し、自分は有能だと考えようとします。
「難しい問題でも、考えれば解決策が分かる。」
合理的な人といると、頼もしいですよね!
憧れられることもあるタイプですが、彼らが自分の感情を抑えて合理的に振る舞うのは、そうすることで自分の欲しいものが手に入ると思っているからだと言えます。
(生まれつき“冷静”というわけではなく、彼らには彼らなりの苦悩があるのでしょう…。)
エニアグラム ハーモニクス反応的グループ(4・6・8)
反応的グループは、問題によって生じる感情を先に発散します。
問題によって生じる怒りや不安や悲しみなどを、まず人と共有します。
そのため、問題のネガティブな側面とも向き合えるのは強みと言えます。
また、副次的な問題(感情的問題など)を無視しないことで、ネガティブな感情の抑圧による状況の悪化も防げると言えます。
ただし、それだけでは問題の効果的な解決に至るには、少し遠いかもしれません…。
また、ネガティブな側面ばかり見ていると、自分も周りも疲れてしまい、問題解決行動を持続させていくのは難しいと言えるでしょう。
“問題への反応の仕方”について、各タイプの違いがあります。
- タイプ4:問題から感じた悲しみを表現することで、特別な存在に見られようとします。
「傷付いた…。この痛みを表現したい。」 - タイプ6:問題の状況を周りに共有し、共感を求めることで、サポートを得ようとします。
「プレッシャーを感じるので、仲間と共有したい。」 - タイプ8:問題に対する恐怖をはねのけ、困難な状況でも人に頼らず自分で生きていくために、怒ります。
「負けたら終わり。だから、怒る。」
このタイプは、もっとも問題自体から逃げないタイプと言えます。
「なんとかなる(楽観)」とか「なんとかすれば良い(合理)」と言って、問題を軽視することがないからです。
ただし、彼らもまた、問題に反応することで“自分の欲しいもの”を満たそうとしていると言えます。
つまり、「問題に反応してしまう」というよりは、それぞれの欲求を満たすために「問題に反応したい」のだとも言えます。
ちなみに各タイプの欲求とは、タイプ4は「特別な存在として関心を得られればOK」、タイプ6は「仲間からのサポートを受けられる安心な環境に身を置ければOK」、タイプ8は「自立できるパワーを手に入れられればOK」です。
エニアグラム ハーモニクス(問題対応)と神経伝達物質セロトニンとの関係!
エニアグラムの各タイプは、3種類の神経伝達物質(セロトニン、ノルエピネフリン(=ノルアドレナリン)、ドーパミン)の活動の高低と相関することが示されています。
(The Enneagram InstituteのEric S. Schulze,MD,Ph.D., Tina Thomas, RN, DCSWら)
ここで面白いのは、3種類の問題対応を示すハーモニクスのグループは、神経伝達物質のセロトニンの活動の高低と相関がある点です。
セロトニンは、癒しホルモンとも言われていて、精神を安定させる効果があります。
これを踏まえてみると、ハーモニクスで楽観的グループに属するタイプ2・7・9は、どれもセロトニンHighとなっているので、タイプ2・7・9の楽観さは科学的にも確からしいと言えるでしょう。
※その他の神経伝達物質との相関関係についてはコチラ。
>>エニアグラムと神経伝達物質(セロトニン・ノルエピネフリン・ドーパミン)との関係性は?
タイプが違う人同士だと、問題対応の価値観の違いから、やりにくさを感じることってありますよね?
でも、個人的には“問題への対応”タイプに、良し悪しはないと思っています。
問題に対処するには、「問題と向きあい(反応的)、解決策を見出し(合理的)、前向きに対処する(楽観的)」という全ての対応が必要だからです。
だからこそ!この“ハーモニクス”理論を知っていれば、価値観の違う人とも“カバーし合える関係”を築けると思っています!